昔話の名作「こぶ取りじいさん」【ストーリー】笑いと教訓が詰まった物語

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昔話の名作「こぶ取りじいさん」【ストーリー】笑いと教訓が詰まった物語 ストーリー
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日本の古くから伝わる昔話は、その奥深い教訓とユーモラスなエピソードで多くの人々の心を捉えてきました。今回ご紹介する「こぶ取りじいさん」は、陽気でのんびりとしたおじいさんと、いつも不機嫌なおじいさんの対比を通して、人の心や行動が運命にどのように影響するかを描いた一篇です。この記事では、物語の詳細なストーリーと共に、その背景や教訓についても考察し、日本の昔話好きの読者の皆様に新たな発見を提供します。

 

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こぶ取りじいさん

かつて、静かな村のはずれに、二人の風変わりなおじいさんが暮らしていた。ひとりは、右頬に大きなこぶを持つ、陽気でのんびりとした性分の持ち主。もうひとりは、左頬にこぶを抱え、常に不機嫌そうな表情を浮かべる、いわば逆の性格であった。

ある日のこと、陽気なおじいさんは森の奥深くで薪を割っていた。すると、ぽつりぽつりと静かな雨が降り始め、やがて雷鳴のような勢いで土砂降りとなる。寒さと湿気に耐えかねた彼は、ふと目に留まった大きな樹の洞に飛び込み、雨宿りをすることにした。やがて、心地よい雨音に誘われ、彼は深い眠りに落ちた。

その夜もすっかり更け、月が森を淡い銀色に染め上げる頃、どこからともなく、にぎやかな太鼓や笛の音が響き渡った。目を覚ましたおじいさんは、音の源を辿って歩き出すと、信じがたい光景が広がっていた。森の奥では、赤や青、黒といった色とりどりの鬼たちが、輪になって愉快に踊り、歌い上げていたのだ。

最初は驚きのあまり足がすくんだが、やがて陽気な気質が勝り、おじいさんもその輪に身を委ね、自由奔放な踊りを披露した。鬼たちはその姿に心底感心し、「これは実に見事な踊りじゃ!」と、彼の踊りを讃えた。

やがて、東の空が薄明かりに包まれ、夜明けの兆しが感じられる頃、鬼たちはおじいさんにひとつの約束を告げた。 「今夜、またこの場所へ来い。その時まで、我らはお前のこぶを預かっておく。再び来た暁に、これを返してやろう。」 そうして、鬼たちは陽気なおじいさんの右頬にあったこぶをそっと取り去った。

翌朝、村へ戻ったおじいさんは、鏡に映る自らの姿に気づき、こぶが消えていることに心から微笑んだ。 「こぶがなくなれば、何とも軽やかだ。歩みも一層軽快になる!」と、彼は快活に笑いながら歩を進めた。

一方、左頬にこぶを抱えるもう一人のおじいさんは、村で陽気なおじいさんの変わり様を目の当たりにし、強い羨望の念に駆られた。彼は問いただした。 「一体、どうしたんだ? そのこぶはどこへ消えたのだ?」 陽気なおじいさんは、昨夜の不思議な出来事をにこやかに語ると、こぶのおじいさんは激しい嫉妬に燃え、心に誓った。 「俺も、あのようにこぶを取ってもらおう。今宵、踊りの腕を存分に発揮してみせる!」

その夜、こぶのおじいさんは覚悟を決め、再び森へと足を踏み入れた。しかし、目の前に広がる鬼たちの愉快な宴の光景に、彼は恐怖を覚え、足がすくんでしまった。緊張からうまく体を動かせず、踊りはぎこちなく、不協和なものとなってしまう。 「こ、怖い…! 踊りがまるでできぬ!」と、震えながら声を漏らす。

その様子に鬼たちの顔色は次第に変わり、いつしか宴の雰囲気も険悪なものへと変わっていった。とうとう、鬼の親分が高らかに叫んだ。 「なんという下手な踊りだ! これでは楽しめぬ。さあ、こぶを返してやるから、二度とこの場所に来るな!」

そうして、親分は昨晩預かったこぶを取り出し、こぶのおじいさんの右頬に無理やり貼り付けた。結果、彼は右と左、二つのこぶを顔に持つこととなり、深い悲しみと共に村へと戻るのであった。

こうして、陽気なおじいさんはこぶを失い、軽やかな足取りで自由に歩む一方で、こぶのおじいさんは余計なこぶという重荷を背負うこととなった。
これは、古来より伝えられる鬼の昔話であり、人の心の在り方や運命の皮肉を、静かに、そして力強く語り継いでいるのである。

あとがき

「こぶ取りじいさん」は、笑いと教訓が交錯する魅力的な昔話です。陽気なおじいさんと、踊りに失敗して苦い結果を招いたもう一人のおじいさんの対比は、我々に「運は自らの心が作る」という大切なメッセージを伝えています。日本の伝統的な物語に触れることで、現代社会においても忘れかけた温かい人情や、正直な心の重要性を再認識できるのではないでしょうか。これからも、そんな昔話の魅力を次世代へと伝えていきたいと思います。

Wikipedia – こぶとりじいさん

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