水はいろいろな物質を溶かしこむことができ、様々な水溶液を作ることができます。物質が溶けた水溶液にはそれぞれの性質・特徴があります。
ここでは、主な水溶液の性質について、なるべくシンプルにわかりやすくまとめていますので、しっかり学習しましょう。
物質が水にとけると?
物質が水に溶けると、その物質は透明に見えるようになります。これは物質が微細な粒子に分解され、水中に均等に分散するためです。溶解する前後で質量に変化はありません。溶けた物質は水中に残り続け、均一に混ざっているので、どこを見ても同じ濃度であるといえます。しかし、溶けることができる量を超えると、物質が沈殿して見え、水は不透明になります。
- 物質が水にとけると、透明になる。
- 溶かす前の全体の質量と溶かした後の全体の質量は変化しない。
- 物質が水に溶けると、物質が非常に小さな粒となって、水の中に均一に広がるため透明になる。
- 物質が均一に混ざっているので、どの部分も同じ濃さであるといる。
- 溶ける限度の量をこえて溶かそうとすると沈殿して物質が出てくる。
水溶液は透明でどの部分の濃さも同じです。
溶質・溶媒・溶液
- 溶質:とけている物質
- 溶媒:とかしている液体
- 溶液:溶質が溶媒にとけてできた液体
水溶液は「溶液」の一種です。水に溶質をとかした液が水溶液となります。
溶媒が水である溶液を、「水溶液」といいます。
例:食塩を水に溶かすと食塩水できます。
このとき、
- 食塩が溶質
- 水が溶媒
- 食塩水が溶液
となります。
おもな水溶液の性質
色はすべて無色透明です。
食塩水
- 溶質:塩化ナトリウム
- におい:なし
- 液性:中性
砂糖水
- 溶質:砂糖
- におい:なし
- 液性:中性
炭酸水
- 溶質:二酸化 炭素
- におい:なし
- 液性:酸性
水酸化ナトリウム水溶液
- 溶質:水酸化ナトリウム
- におい:なし
- 液性:アルカリ性
石灰水
- 溶質:水酸化カルシウム(消石灰)
- におい:なし
- 液性:アルカリ性
塩酸
- 溶質:塩化水素
- におい:刺激臭
- 液性:酸性
アンモニア水
- 溶質:アンモニア
- におい:刺激臭
- 液性:アルカリ性
おもな水溶液の特徴
食塩水
- 水分を蒸発させると白い固体(塩化ナトリウムの結晶)が残る。
砂糖水
- 加熱すると砂糖が黒くこげて残る。(炭化する)
- ベネジクト液を加えて加熱すると赤かっ色の沈殿。
炭酸水
- 加熱したりふったりするとあわが出る。
- 石灰水と混ぜると白くにごる。
塩酸
- 金属と反応して水素が発生する。
- 卵のからや貝がらを入れると二酸化炭素が発生する。
アンモニア水
- 加熱するとアンモニアが発生する。
水酸化ナトリウム水溶液
- アルミニウムが溶けて水素が発生する。
石灰水
二酸化炭素を通すと白くにごる。
リトマス紙の変化
酸性
青が赤に変わる
うすい塩酸・炭酸水など
アルカリ性
赤が青に変わる
アンモニア水・石灰水・水酸化ナトリウム水溶液など
中性
変化なし
水 ・食塩水・砂糖水・硫酸銅水溶液・エタノール
酸性・アルカリ性・中性の特徴
酸性
一般に「~酸」と名前がつくものは酸性を示し、以下のような特徴を持ちます:
- 青色リトマス紙を赤色に変える: 酸性溶液に青色リトマス紙を浸すと、紙の色が赤色に変わります。
- BTB溶液を黄色にする: ブロモチモールブルー(BTB)は、pH指標の一つで、酸性の環境では黄色に変色します。中性の状態では青緑色を示します。
- フェノールフタレイン溶液は変化なし: フェノールフタレインは、酸性条件下では無色を示し、基本性(アルカリ性)条件下でピンク色に変わります。
- 金属と反応して水素を発生する: 多くの酸は、一部の金属(例えば、亜鉛やマグネシウムなど)と反応して水素ガスを発生させます。
- 電流を通す: 酸性溶液は、電解質として機能し、そのイオンが電流を運ぶことができます。これにより、酸性溶液は電気を通す性質を持ちます。
アルカリ性
通常、「水酸化~」と名前がつく化合物はアルカリ性を示します。以下はアルカリ性物質の特徴です:
- 皮膚につけるとぬるぬるする: アルカリ性物質は、皮膚の脂肪酸と反応して石鹸のような物質を生成することがあり、これがぬるぬるした感触を生じさせます。
- 赤色リトマス紙を青色に変える: アルカリ性溶液に赤色リトマス紙を浸すと、紙の色が青色に変わります。
- BTB溶液を青色にする: ブロモチモールブルー(BTB)はpH指標の一つで、アルカリ性の環境では青色に変色します。
- フェノールフタレイン溶液を赤色にする: フェノールフタレインは、基本性(アルカリ性)条件下で明るいピンク色(または赤色)に変わります。酸性条件下では無色を示します。
- 電流を通す: アルカリ性溶液も電解質として機能し、溶液内のイオンが電流を運ぶことができます。これにより、アルカリ性溶液は電気を通す性質を持ちます。
中性
酸性でもアルカリ性でもない状態を指します。これは、溶液のpHがおおよそ7に等しいときに起こります。
- 青色リトマス紙も赤色リトマス紙も変化なし: 中性の環境では、リトマス紙は色を変えません。青色リトマス紙が赤くならず、赤色リトマス紙も青くなりません。
- BTB溶液は変化なし: ブロモチモールブルー(BTB)溶液は、中性の状態で特定の色変化を示さないため、通常は青緑色のままです。
- フェノールフタレイン溶液は変化なし: 中性の状態では、フェノールフタレイン溶液も色を変えません。
- 電流を通すものと通さないものがある: 中性溶液の電気伝導性は、溶液中のイオンの種類と濃度に依存します。純粋な水はほとんど電気を通しませんが、溶質がイオン化すると電流を通すようになります。そのため、中性であっても溶液によっては電気を通すものと通さないものが存在します。
中和
酸性の水溶液にアルカリ性の水溶液を加えていくと、だんだんと酸性が弱くなっていき、やがて溶液は中性になります。さらにアルカリ性溶液を加え続けると、アルカリ性になっていきます。
このように、「酸性の水溶液」と「アルカリ性の水溶液」を混ぜ合わせると、それぞれの性質を打ち消しあう「中和」が起こります。
また、中和が起こると、「塩」と「水」ができます。
酸 + アルカリ → 水 + 塩
酸性とアルカリ性の溶液が反応し合って、互いの性質を打ち消し合いながら新たな物質を生み出します。
溶解度
物質が水に溶ける限界の量はその物質によって異なり、またその溶ける量は温度によっても変化します。この限界の量を指す用語が「溶解度」です。溶解度は、100gの水に溶けることができる物質の最大質量を意味します。
- 溶解度:100gの水に溶ける物質の最大質量をいいます。
- 飽和水溶液:水溶液がその溶解度に達し、これ以上新たな溶質が溶け込むことができない状態。(これ以上溶けない状態)
再結晶
物質を水などの溶媒に溶かし、再び結晶として取り出すことを再結晶といいます。
結晶というのは、飽和水溶液を冷やしたり水を蒸発させて得られた、もとの物質のことです。
- 「物質によって一定量の水に溶ける限度が決まっている」
- 「水の温度が高いほどよく溶ける」
ということを利用して、水溶液に溶けている固体の溶質を取り出すことができます。
冷やす:とけきれなくなった物質が固体として出てくる。
加熱する:水が蒸発し、 溶けていた物質が固体として出てくる。
質量パーセント濃度の公式
濃度というのは、水溶液全体の質量に対する溶質の質量の割合のことをいいます。
下の公式によって求めることができます。
$$質量パーセント濃度[%]= \frac{溶質の質量[g]}{溶液の質量[g]}× 100$$
注意しなければいけないのは、水溶液の質量です。
水溶液の質量は 溶媒の質量と溶液の質量の和 であることに注意してください。
溶質の質量 + 溶媒の質量 = 溶液の質量
溶け残りができた場合も、 この関係は変わりません。
上記の公式と同様ですが、濃度の公式は以下のように書くこともできます。
$$質量パーセント濃度[%]= \frac{溶質の質量[g]}{水の質量[g]+溶質の質量[g]}✕100$$
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